2012年02月26日
HAPPY FOR YOU

ごめんください
お荷物お届けにあがりました
サインお願いします
貴方に届いたのは
きっと素敵な幸せ
お荷物お届けにあがりました
サインお願いします
貴方に届いたのは
きっと素敵な幸せ
感無量です。
ご声援ありがとうございました(殴
私の熱い想いは無事届いたようです。
もう何年も色々お菓子とか作ってきたけど、人にあげてこんなに喜ばれたことはありません。
作ってよかった。
一日かけた甲斐がありました。
ちなみに写真は、昨日相方の家に着いてから二人でギャーギャー騒ぎながら撮りましたw
プレーンとココアの生地を1時間かけてLOVEとHAPPYと共に編みこみ、ミルクチョコとホワイトチョコは、笑顔も一緒にゆっくり溶かし、教えて貰って気に入った曲を流しながら焼き上がりを待って…。
あんなにニコニコしながらモノを食べる人も稀だろうけど、あんなにニコニコする相方も実にレアだろうねw
だがしかし!
それを見れるのも私の特権ということで♪
時々とても不安になる。
年齢的にも年上だしね。
一緒にはしゃいでくれるのも、私が子供だから。
優しいのも甘やかしてくれるのも、私が子供だから。
私も大人にならなきゃ。
彼に見合うような大人な女性に。
だけど、背伸びをするといつも失敗する。
どんなことも心を乱されずに、平静と出来る女を装えば装うほどに。
あたしはこのままでいいんだろうか。
うんざりされることは無いんだろうか。
彼の「大丈夫」には魔法がかかっている。
本当に大丈夫になる。
だからあたしは安心して彼に心を委ねることが出来ているんだと思う。
他で甘えられないのを知っているから、彼だけはいつもオープンでいてくれている。
甘ったれな私のストレスがたまらないように。
『ありがとう』も『ごめんなさい』も全部全部詰め込んだから。
『大好き』も『愛してる』も丸ごと。
昨日は世界でたった二人だけの恋人日を満喫したNORは、来年の恋人日に向けて早くも構想を練っております。
初めて作ったモンが意外とレベル高くて次からのハードルが馬鹿高くなりましたwww
来年も楽しみにしててね。
その次も、そのまた次も。
ホワイトデー、きt(ry
2012年02月25日
AMERICA

ここは近くて遠い
壁の向こうは
異国の香りがする
あの青い瞳は
目を閉じる前
何を見ていただろうか
壁の向こうは
異国の香りがする
あの青い瞳は
目を閉じる前
何を見ていただろうか
石畳の坂を昇れば海の見える丘に出た
防波堤に当る波間に俺を呼ぶ声が聞こえた
どんなに離れても決して忘れなかったよ
朽ち果てた俺の家と鉄のFENCE
~柳ジョージ『FENCEの向こうのアメリカ』より抜粋~
相方から教えて貰ってよく聞くようになった曲。
戦後の港町本牧を歌った曲だそう。
敗戦と同時に米軍によって占領統治された日本。
完全返還されたのは1982年と、私の生まれるたった2年前だと知って驚いた。
それまで戦争なんて、次元の違う話のように聞いていた。
ただの歴史の話だと思っていたのに。
「あばよ」の一言も無く消え失せたあの頃…
かつてネオン管が張り巡らされ、シンデレラタイムに息衝き始めた本牧も今は廃れ、ガラクタのような街になった。
それでも街に吹く風は今も昔も変わらず乾いているのだと思った。
とかなんとか言って~
その時代に本牧なんか行った事ないんですけどね~wwww
歌が大好きな父にこの曲の話をしたら、飲み屋で歌うから教えてくれと言われました。
それがなんだか嬉しくて。
大切な人と同じものを共有できたことが嬉しくて。
お気に入りの写真を載せたくて。
高いFENCEの向こう側をあたしはもう見ることは出来ないけど、きっとまだ誰かの記憶には残ってるんだろう。
白い肌に青い目の少女を見た彼のように。
今はもう聞こえないお袋の下手なBLUES
俺には高すぎた鉄のFENCE
今はもう流れない潮風と赤いCANDY
高いFENCE越えて見たAMERICA
柳ジョージ
彼が逝ったのは、あたしの誕生日の2日前の話。
貴方の歌は、世代を超えて今もなお、港町横浜を思い出させる名曲です。
素敵な曲をありがとう。
2012年02月23日
きたきたきたっ!!!

美しく輝く宝石のように
美しく輝く日々を
人生で一度しかない今を
貴方の為だけに生きると決めた
美しく輝く日々を
人生で一度しかない今を
貴方の為だけに生きると決めた
きたよ、キタキタ!!!
ほぼ2週間遅れの恋人の日がとうとう私にもやってまいりました!!
咲き誇れ自分っ!!(何
タルト生地やケーキ生地などは、一日ゆっくり寝かせたほうが美味しくなるのです。
と、前職の料理長兼パティシエ兼社長が言ってました。
それに習い、社長が残してくれたガトーショコラのレシピを…
無くしました
orz
そんなことじゃめげませんけど!!!
NOR特製タルト台黄金比を披露するときがやってまいりました!
少し遅めのバレンタインですが、喜んでくれることを願ってこれから作業に取り掛かります。
相棒よ。
ホワイトデーのお返し、期待しt(ry
頑張ります!
2012年02月22日
2012年02月14日
LolliPop

あまいあまい
いちごのゆうわく
あやういゆうわくきけんなかおり
しらないうちにしっている
あやしいあやしいきけんなゆうわく
いちごのゆうわく
あやういゆうわくきけんなかおり
しらないうちにしっている
あやしいあやしいきけんなゆうわく
街中が浮き足立ってましたね~。
どこもかしこもピンクにハート。
クッキー、マシュマロ、チョコ、キャンディー。
ハッピーなバレンタインを過ごしたかい?皆の衆ww
NORも職場で友チョコなるものを頂きました。
皆さんマメですなwww
一方NORはというとですね。
未だにタルトの材料は手付かずで置いてあるわけですね。
はい。
当然逢える訳もなく。
つい先程仕事終了のメールをいただきました。
遅いっちゅーーーーねん!!!!
NORのハッピーバレンタインは当分持ち越しになりそうです。
哀しきかな…
NORの職場でも、バレンタイン用のチョコレートを販売していました。
ホットミルクに溶かすタイプのチョコレートだとか、なんか色々w
休憩中に様子を見に行ったのですが、最近は様々なバレンタインお菓子があるんだと知りました。
日本の伝統、御煎餅までもがハート型www
あたしが男だったら確実に引くなぁww
もしNORが男だったら。
是非GODIVAのチョコレートリキュールをプレゼントしていただきたいのです。
相棒よ、ホワイトデー、期待してますぞ!!!!!
なんつって♪
2012年02月14日
アルバム

変わらない思いを
変わらない笑顔を
色褪せても
翳む事の無いあの日を
輝かしいあの時を
記憶に刻んで
変わらない笑顔を
色褪せても
翳む事の無いあの日を
輝かしいあの時を
記憶に刻んで
父が一人暮らしを始めてそろそろ2ヶ月が経つ。
子供が知らない夫婦の事情とはあるもので、いつの間にか二人の間には深い溝が出来ていたらしい。
説得も虚しく、長い夫婦生活は幕を閉じた。
家族が離れてしまうのは悲しい。
父と母。
どちらかの味方につくことはしなかったし、常に中立でいた。
母が悪くても、父が悪くても、どちらも私は責めなかった。
私はただ、二人一緒にいて欲しかった。
いつまでも、私の帰る場所に二人でいてほしかった。
父の新しい部屋は、うちから5分と少し歩いたところにある。
自転車なら5分で行って帰ってこれる。
「洗濯機と冷蔵庫がねぇんだ」
初めて新居に行ったとき、父が笑って言っていた。
あれから2ヶ月、未だに父の部屋には冷蔵庫も洗濯機もない。
週に1~2回、父から電話がかかってくるようになった。
「洗濯、頼めねぇかな?それから、なんか…なんでもいいんだ、食うもん買ってきてくれ」
「お父さん、毎日買って食べてるの?」
「作れねぇからな…」
照れ臭そうに、寂しそうに笑った。
「一人で食う飯は不味いんだ。俺ぁ知らなかったなぁ…」
お酒が大好きな父。
飲むと饒舌になる。
説教臭くなり、涙もろくなる。
顔を茹蛸のように真っ赤にしながら、同じことを何度も話す。
酔っ払うとなぜかクシャミを連発する。
ひとしきり飲んでクダをまいて鼾をかいて眠る。
そんな父がポツリと呟いた。
私は「大丈夫だよ」と一言だけ返した。
父の洗濯物を洗いながら思う。
一人はなんて苦しいんだろう…。
先日、洗濯物を取りにいつものように父の部屋に向かった。
玄関を開けると、とても小さくなってしまった父の背中があった。
部屋に入るとすぐ、右手側に小さな本棚がある。
買いためてあるカップラーメンに紛れた、古いアルバム。
広げてみると、白黒の、若い父の姿があった。
私は、父によく似ていたんだと知った。
「お父さん、目…垂れてるね」
「お前の目は俺に似たんだ」
父の若い頃の話を長い時間をかけてきいた。
ジュリーに憧れて髪を伸ばしていたこと。
ビートルズが好きで、赤いセーターを買ったこと。
初めて乗ったバイクはカブだったこと。
本当は双子で、お姉さんは小さいときに亡くなっていたこと…
「こんなの、あったんだね、知らなかった…」
「俺も忘れてた。見る機会なんてなかったしなぁ」
「あたしたちの小さいときの写真はないの?」
「さぁなぁ…あいつが持って行ったんじゃねーか?」
父はそれ以上、何も話さなくなった。
唯一残っていた15,6年前の旅行写真だけもらって帰ることにした。
そこには、ぶくぶくに太った私とぶくぶくに太った妹とぶくぶくに太った母と、チンピラのような父がいた。
年月は残酷に、人を変えていく。
衰えさせ、劣化させ、傲慢にさせていく。
弱くさせ、臆病にさせる。
父が‘あいつ’と呼んだのには、どんな理由と気持ちがあったんだろう。
「母さん」と呼ばなくなった父の心の変化を私は未だに知らない。
私が見たアルバムの中の父は、この先例えば父が死んでも、同じ笑顔で居続ける。
「お父さんの写真、幾つかもらって行っていいかな?」
「何すんだ?」
「んー…あたしのデータん中にしまっとく。」
パソコンもデジタルカメラもない時代。
父が生きた時代。
父の写真をもらうつもりで、私はカメラを構えた。
父の思い出をわけてもらった。
「お前だけは幸せになれ。もう頑張らんでいい。お前はよくやってくれた」
帰り際、父の声は、心細いのを我慢しているようだった。
「大丈夫。また来るから。」
父は、なんて強くて、弱いんだろう。
こんなに愛に溢れた男で良かった。
私はこの上なくファザコンなんだと思った。
貴方の遺影はぜひ、私の手で撮らせておくれ。
今までよりも男前に、優しい笑顔の貴方を撮る自信があるよ。
2012年02月07日
甘いあまい恋の味

甘い香りが届くといいな
バニラにチョコにストロベリー
とろける魔法がかかるといいな
ホイップクリーム ベリージャム
君に届け
甘い香りと想いを乗せて
バニラにチョコにストロベリー
とろける魔法がかかるといいな
ホイップクリーム ベリージャム
君に届け
甘い香りと想いを乗せて
さぁさぁ
恋の季節がやってまいりました。
世の中の女子と男子が一番舞い上がる季節ではなかろうか。
そんな波に乗ってNORも腕を振るいますよっと♪
こう見えて(どう見えて?)色々器用にこなしてしまうNORはお菓子なんかも作れます。
編み物なんかも出来ちゃいます。
何も出来ない子だと思ったら大間違いです。
正月には相方に御節も作りました。
家に招待したときはなんやようわからん手料理もご馳走しました。
冬にさしかかろうと言うのに夏バテ防止メニューを振舞いました。
とにかくよく食べる相方にNORはご満悦なのです。
そして恋の季節にはずばりタルトワンホール差し上げようと大量の買い物袋をさげてご帰宅した次第であります。
だがしかし!!
いつ逢えるのかは皆目見当もつきませぬ。
なんとゆー大誤算。
貴様、なんちゅー仕事しとんねん!と、声を大にして私は言いたい。
さっさと転職したm(ry
手作りタルトが腐る前にお休み作っていただいてもいいでしょうかwww
2012年02月07日
流行り物

あの子とこの子は
きっと同じものを持っている
モノで繋がる仲良しは
裏と表の紙一重
きっと同じものを持っている
モノで繋がる仲良しは
裏と表の紙一重
去年から、怪しいとは思ってた。
突然やってくると言うのは本当だろうか…。
いやだなぁ…。
優しい柔らかティッシュ、買わなきゃだめかなぁ。
あれ、割高なんだよなぁ。
お父さんが使ってて、使わせてもらったことあるけど確かに小鼻には優しいんだよなぁ。
頼むから!!
花粉症にだけはなりたくないの!!!
2012年02月06日
眠れぬ明日は傍にいて。
カチャカチャと無機質な金属音だけが部屋に響いている。
彼と向かい合わせで取る食事。
もう何日目だろう。
私が、朝食はパン派であることを彼は最初から覚えてくれていた。
「美味しい?」
「うん」
「そっかそっか、良かった!ゆっくり食べな?今あったかい紅茶も入れてあげるね。」
私がコーヒーが苦手なことも、ちゃんと覚えている。
「ヒロ…仕事はいいの?」
「大丈夫だよ。ちゃんと調整してあるから」
「でも…」
「リオ?余計なことは考えなくていいんだよ。リオは俺の傍にいてくれるだけでいいの」
首筋に触れるひやりと冷たい感覚。
気温のせいだろうか、人間の体温とはかけ離れていた。
「リオが寝てる間にちょっと買い物してきたんだ。リオに似合うと思って」
首筋に新たな感触が加わった。
それは細く、やはり冷たい。
耳の後ろ辺りでパチンと何かが弾けるような音がした。
僅かな重みが鎖骨にかかる。
「やっぱり!思ったとおりだ。リオは綺麗だから何でも似合うね。これがあれば俺も安心なんだ。いつも繋がっていられる気がする」
細く頼りないながらもしっかりと主張する首筋の冷えた感触は、私を甘美な恐怖へと陥れた。
金属の擦れる音。
私を現実へと引き戻してくれるのは、その微かな不協和音だけだった。
「これで俺も安心して仕事に行けるよ」
「ヒロ…」
「大丈夫、ちゃんと帰ってくるからね?独りになんて絶対しないから。ご飯もちゃんと作ってあげるし、帰ってきたらお風呂も一緒に入ろう。何も心配しなくていいからね。仕事の間だけ、ちょっと寂しいかもしれないけど、でもすぐ帰ってくるよ」
彼の大きな手が頬に触れる。
今度は温かかった。
先程首筋に触れた感覚とは大きく異なる、人の温かさ。
皮膚を通る神経は研ぎ澄まされ、血液の流れる音さえ聞こえてきそうな気がした。
「愛してるよ、リオ…」
耳元で彼が囁き、手を握る。
耳に触れ、髪に触れ、一つ一つを確かめるように彼の手が私の身体を這い回る。
「綺麗だよ、リオ。すごく綺麗。誰にも渡さないよ。もう帰さない…」
後方で、ガチャリと重く鈍い音が響いた。
「これで大丈夫。ずっと一緒だよ。ずっと…」
体重を少しだけ前方向に落としてみた。
首の付け根に食い込むそれは、ネックレスなどよりはずっと強く太い。
私の首を優しく締め上げるものは、私の体温と同じほどに温まっている。
私はこれを知っている。
この感触を知っている。
人間の一生のうち、おおよそをこれで認識しているであろう視覚を奪われた今、触覚、嗅覚、聴覚は急激に発達していく。
特に聴覚は相手の移動範囲を探るためにより一層敏感になっていった。
そしてそれらによりわかったものは、私は彼の手で繋がれてしまったこと。
首にかかっているものは、恐らく鎖であろうこと。
その鎖を彼は、部屋のどこかに重く冷たい錠で固定した。
「これでリオは本当に俺のものになったよ。どこにも逃げられない。でもあんまり動いちゃダメだよ?危ないからね。綺麗な身体に傷でも付いたら大変だ」
身体の前で組まれていた手は後ろに回され、手首に鉄が食い込んでくるのを感じた。
動かす度にギリギリと手首を締め上げた。
「動かないで!ホントに危ないんだから!」
彼が私を抱き締めた。
私には、動くことも見ることも許されてはいない。
ただ感じることだけが、生きている証なのだと悟った。
「リオ、いい子だね。ちゃんと言うこと聞いて、守ってくれる。優しい子…」
まるで子供をあやすような口振りで、頭を撫でた。
こんなとき、彼がどんな顔をするか、私は知っている。
最初からこうだったわけじゃない。
ある日突然、彼は私の眼を隠し、手足の自由を奪った。
しきりに彼は呟いていた。
吸い込まれてしまう、溺れてしまう。
きっと涙を流しながら、彼は呟いていた。
「俺はね、リオの綺麗な瞳が好きなんだ。大きくて、黒くて、何もかもを見透かしていそうなその目が俺を壊した」
「ヒロ…逃げたりなんてしないから、全部外して…」
「ダメだよ、それは出来ないんだ。ごめんね。こうして繋いでおかないと、隠しておかないと…リオは誰かに連れ去られてしまうよ。だって外は危険がいっぱいなんだよ。こんな美しいものを放っておくわけにはいかない」
首に繋がった鎖を指で弾いているようだ。
その振動が皮膚を伝わり、チャリチャリと音を鳴らした。
私は彼に繋がっている。
この鎖は、彼の心に繋がっているんだと思った。
「ヒロ…お願いだから…」
「ダメだ!そんなことは許さない!リオ…お願いだ。言うこと聞いて…」
きっと彼は泣いている。
私を想って泣いているに違いない。
今更逃げる気など毛頭なかった。
忠実に、彼の元で生きていくことを誓っていた。
私も、狂っていた。
不意に彼の吐息を耳元で感じた。
いつもそうだ。
そっと、気配無く近づいて、私の意識を奪っていく。
「リオ、信じてるよ。リオはいい子だもんね。ずっと俺のものでいてくれるね?いい子にしてるんだよ。いいね?」
私は小さく頷いた。
髪を撫で、頬に触れ、キスをする。
彼の指がゆっくり耳にかかり、目隠しはとうとう外され、長かった暗闇は光に溶けた。
部屋は意外に薄暗く、随分と光から遮断されていた眼球にも刺激は少なく済んだ。
「やっぱり綺麗だ…。この目が俺を惑わすんだ」
まだぼやける視界の真ん中で、彼の姿を捉えた。
出逢った頃と変わらない、優しい顔をしている。
「リオ、愛してるよ。俺たちはこれで、ずっと一緒だ。誰にも邪魔させない。わかってくれ、リオ。こうでもしなきゃ、俺たちに明日はない…」
それからどのくらい月日が流れたかはわからない。
相変わらず私は鎖に繋がれ、彼の帰りを待っている。
手首に食い込む錠は、毎日彼の手によって磨かれ、まるで鏡のように私の背中を映し出していた。
甘美な恐怖…それは私達に見えぬ明日を約束してくれる。
この鎖は、見えぬ明日までをも、繋ぎ止めてくれているのだ。

彼と向かい合わせで取る食事。
もう何日目だろう。
私が、朝食はパン派であることを彼は最初から覚えてくれていた。
「美味しい?」
「うん」
「そっかそっか、良かった!ゆっくり食べな?今あったかい紅茶も入れてあげるね。」
私がコーヒーが苦手なことも、ちゃんと覚えている。
「ヒロ…仕事はいいの?」
「大丈夫だよ。ちゃんと調整してあるから」
「でも…」
「リオ?余計なことは考えなくていいんだよ。リオは俺の傍にいてくれるだけでいいの」
首筋に触れるひやりと冷たい感覚。
気温のせいだろうか、人間の体温とはかけ離れていた。
「リオが寝てる間にちょっと買い物してきたんだ。リオに似合うと思って」
首筋に新たな感触が加わった。
それは細く、やはり冷たい。
耳の後ろ辺りでパチンと何かが弾けるような音がした。
僅かな重みが鎖骨にかかる。
「やっぱり!思ったとおりだ。リオは綺麗だから何でも似合うね。これがあれば俺も安心なんだ。いつも繋がっていられる気がする」
細く頼りないながらもしっかりと主張する首筋の冷えた感触は、私を甘美な恐怖へと陥れた。
金属の擦れる音。
私を現実へと引き戻してくれるのは、その微かな不協和音だけだった。
「これで俺も安心して仕事に行けるよ」
「ヒロ…」
「大丈夫、ちゃんと帰ってくるからね?独りになんて絶対しないから。ご飯もちゃんと作ってあげるし、帰ってきたらお風呂も一緒に入ろう。何も心配しなくていいからね。仕事の間だけ、ちょっと寂しいかもしれないけど、でもすぐ帰ってくるよ」
彼の大きな手が頬に触れる。
今度は温かかった。
先程首筋に触れた感覚とは大きく異なる、人の温かさ。
皮膚を通る神経は研ぎ澄まされ、血液の流れる音さえ聞こえてきそうな気がした。
「愛してるよ、リオ…」
耳元で彼が囁き、手を握る。
耳に触れ、髪に触れ、一つ一つを確かめるように彼の手が私の身体を這い回る。
「綺麗だよ、リオ。すごく綺麗。誰にも渡さないよ。もう帰さない…」
後方で、ガチャリと重く鈍い音が響いた。
「これで大丈夫。ずっと一緒だよ。ずっと…」
体重を少しだけ前方向に落としてみた。
首の付け根に食い込むそれは、ネックレスなどよりはずっと強く太い。
私の首を優しく締め上げるものは、私の体温と同じほどに温まっている。
私はこれを知っている。
この感触を知っている。
人間の一生のうち、おおよそをこれで認識しているであろう視覚を奪われた今、触覚、嗅覚、聴覚は急激に発達していく。
特に聴覚は相手の移動範囲を探るためにより一層敏感になっていった。
そしてそれらによりわかったものは、私は彼の手で繋がれてしまったこと。
首にかかっているものは、恐らく鎖であろうこと。
その鎖を彼は、部屋のどこかに重く冷たい錠で固定した。
「これでリオは本当に俺のものになったよ。どこにも逃げられない。でもあんまり動いちゃダメだよ?危ないからね。綺麗な身体に傷でも付いたら大変だ」
身体の前で組まれていた手は後ろに回され、手首に鉄が食い込んでくるのを感じた。
動かす度にギリギリと手首を締め上げた。
「動かないで!ホントに危ないんだから!」
彼が私を抱き締めた。
私には、動くことも見ることも許されてはいない。
ただ感じることだけが、生きている証なのだと悟った。
「リオ、いい子だね。ちゃんと言うこと聞いて、守ってくれる。優しい子…」
まるで子供をあやすような口振りで、頭を撫でた。
こんなとき、彼がどんな顔をするか、私は知っている。
最初からこうだったわけじゃない。
ある日突然、彼は私の眼を隠し、手足の自由を奪った。
しきりに彼は呟いていた。
吸い込まれてしまう、溺れてしまう。
きっと涙を流しながら、彼は呟いていた。
「俺はね、リオの綺麗な瞳が好きなんだ。大きくて、黒くて、何もかもを見透かしていそうなその目が俺を壊した」
「ヒロ…逃げたりなんてしないから、全部外して…」
「ダメだよ、それは出来ないんだ。ごめんね。こうして繋いでおかないと、隠しておかないと…リオは誰かに連れ去られてしまうよ。だって外は危険がいっぱいなんだよ。こんな美しいものを放っておくわけにはいかない」
首に繋がった鎖を指で弾いているようだ。
その振動が皮膚を伝わり、チャリチャリと音を鳴らした。
私は彼に繋がっている。
この鎖は、彼の心に繋がっているんだと思った。
「ヒロ…お願いだから…」
「ダメだ!そんなことは許さない!リオ…お願いだ。言うこと聞いて…」
きっと彼は泣いている。
私を想って泣いているに違いない。
今更逃げる気など毛頭なかった。
忠実に、彼の元で生きていくことを誓っていた。
私も、狂っていた。
不意に彼の吐息を耳元で感じた。
いつもそうだ。
そっと、気配無く近づいて、私の意識を奪っていく。
「リオ、信じてるよ。リオはいい子だもんね。ずっと俺のものでいてくれるね?いい子にしてるんだよ。いいね?」
私は小さく頷いた。
髪を撫で、頬に触れ、キスをする。
彼の指がゆっくり耳にかかり、目隠しはとうとう外され、長かった暗闇は光に溶けた。
部屋は意外に薄暗く、随分と光から遮断されていた眼球にも刺激は少なく済んだ。
「やっぱり綺麗だ…。この目が俺を惑わすんだ」
まだぼやける視界の真ん中で、彼の姿を捉えた。
出逢った頃と変わらない、優しい顔をしている。
「リオ、愛してるよ。俺たちはこれで、ずっと一緒だ。誰にも邪魔させない。わかってくれ、リオ。こうでもしなきゃ、俺たちに明日はない…」
それからどのくらい月日が流れたかはわからない。
相変わらず私は鎖に繋がれ、彼の帰りを待っている。
手首に食い込む錠は、毎日彼の手によって磨かれ、まるで鏡のように私の背中を映し出していた。
甘美な恐怖…それは私達に見えぬ明日を約束してくれる。
この鎖は、見えぬ明日までをも、繋ぎ止めてくれているのだ。
