NORの目に映る世界。 NORというフィルターを通すと、こんな風になってしまうんです。 子供の頃は、汚い街だと思ってた。 大人になって、儚い街だと気がついた。 それならいっそ、浮かれて暮らそうじゃないか。 無情な現を嘆きながら。

2012年06月02日

夢は夢のままで。

「……そうそう、でさぁwすげー笑っちゃうw」

普段、あたしの前で仕事以外の電話をしたことが無い相方。
「ごめん、一本電話させて?」の一言も欠かさない。
そんな彼が、あたしといるときと同じテンションで電話をしている。
「…?まぁ、そんなこともあるよね。」とあまり気にも止めなかった。
この一言を聞くまでは。

「君みたいな綺麗で可愛い子が…」

おいまて。
それはあたしの特権じゃないのか。
でもあたし、チキンだから「誰と電話してるの?」なんて聞けないんです。
拳を握り締めながら会話が聞こえてくるなか必死で耐えてるわけです。
暫くすると、誰かが家に訪ねてくる。
いつの間にか電話は終了していたようで。

「いらっしゃい!あがってあがって!」
「おじゃましまーす☆」

オイコラ。
誰だこの女は。
勝手に人の愛の巣へヅカヅカ入り込んできやがって。
おいおいおい
まてまてまて
なんで貴様が相方の隣を陣取ってやがる?
そこはあたしのなんだけどな!!
そこに座っていいのはあたしだけなんだけどな!!!

「え~?この人なんなんですかぁ?」
「いや、お前が誰だwww」
「NOR!そんな言い方しなくたっていいだろ?」
「え……?」

今まで、相方にこんな言い方をされたことは無い。
いつだってあたしの味方で、いつだってあたしを守ってくれて、いつだってあたしを優先してくれて…
それなのに、なんなの?
急に現れたこんな女に、なんでそんなに優しいの?
どうしてそんな顔して笑ってるの?
どうして手を繋いでいるの?
どうして見つめ合って微笑んでるの?
ねぇ、どうして…

「ちょっと!なんでそんな女に、あたしとおんなじ扱いしてんのよ!こんな○○○○な女(自重)がなんで!!」
「な…っ!ひどぉい!!Hさぁん!この人ひどいぃ!!」
「おい!なんでお前そんな言い方すんだよ!可哀想だろ?!」

やめてよ。
そんな得体の知れない女に優しくしないでよ。
庇わないでよ。
抱き締めないでよ。
慰めないでよ。
そんな薄汚い涙に騙されないでよ。
やめてヤメテ
や め て !!!!

「NOR、いい加減にしろよ。そんな子だとは思わなかったよ。幻滅だ。」
「え・・・?嘘でしょ?」
「俺、お前に嘘ついたことないよな?」

ああ…この人は本気だった。
いつだって。
それをあたしが一番良く知ってるじゃないか…。

「ああ、そう。わかった。よくわかったから、1回二人で話をしよう。」

二人でいる間、寄るな触るなの相方をどうして扱っていいかわからなかった。
こんな相方は見たことが無い。
凍りつくような冷たい目、見たことが無いよ…。

「そんなにあたしと別れたいの…?」
「ああ、もう無理だ。」

一度も目を合わせない。
今までいつも真剣に向き合ってくれた人が…。
あたしだけの特権だったものを奪い去って行ったあの女…。
この人にそれだけのことを言わせる女性なんだ。
よっぽどいい女性なんだろう。
あたしなんかでは到底足元にも及ばないような…。

「そっか。わかった。いままでどうもありがとう。」
「…最後に見せたいものがあるんだ。」
「なぁに?」

月明かりの中、薄ぼんやりと人影。
急いで走ってくる。
さっきの女性だ。
こんなに幸せなのよって見せ付けるつもりなんだろうか。
そんなの耐えられないな。
きっと立ち直れない。
そんなことをしてまで、あたしと離れたかったんだな。







「じゃーーーん☆だいせいこーーーー☆☆」









は?
なに?
なんすか?



「いやーー!NORさん!最後の最後まで涙を見せないなんて粋な女ですねぇ!かっこいい!」

は?
なにコイツ、どっかで見たことある。

「あたし、ホントに途中で可哀想になっちゃってぇ☆」

なんだお前
さっきまで相方の隣でニヤニヤしてたじゃねーか。

「さ、というわけで!愛を確かめ合ったお二人に、いつもご家庭で作っている愛情たっぷり料理を披露していただきましょう!!」
「NORのから揚げは絶品なんですよ!」

おいw
なんでそんなニコニコなんだ相方よwwww
何がなんだかわからんまま特設キッチンでから揚げを作らされるあたし。
隣には、いつもと変わらない笑顔で立っている彼。
「ホラ、NOR!焦げちゃうよ!!」なんて無邪気に笑う彼。
特設キッチン台には"○様のブラ○チ"の文字。
見たことあるわけだよ、この男。
だってあの番組の司会者www

ああ、なんだ。
ドッキリか。
良かった。
よかったなぁ…


その場にへたり込んでボロッボロに泣き崩れました。
あんな覚悟、決めたくなかったから、ホントによかったよ…









そこでふわっと目が覚めました。
常夜灯のつく部屋。
MackShowの流れるテレビ。
時計を見ると5時58分。
アラームの鳴る2分前。
隣には、寝息を立てる彼。

全部全部夢だった。

あたし以外に微笑みかける彼も、あたし以外に向けられた愛の言葉も。
全部全部夢…



たまらなくなって彼を抱き締めた。
涙がポロポロ零れ落ちた。

「どうした…?大丈夫…?」
寝ぼけ眼で微笑む彼。




号泣wwwwwwwwwwwwwwwww
ああああああ
夢でよかったよおおぉおぉぉぉおおぉぉええぇああぁうおぉおぉぅ


って言うくらい号泣してたようですw


実際、あたしはシクシク泣いてるつもりだったんですけど、思ったより声、出てたみたいですねww
「子供…っwww」って言ってたしねw
そんくらい泣いてたんでしょうなwww




夢は夢のまま…w  


Posted by NOR at 20:40Comments(0)